2008年09月15日

my great country

私の故郷は北海道日高地方。
競走馬の生産・育成で有名なあたりで、海岸部は漁業も盛んなところ。
私の家自体は決して馬にも魚にも無関係なただのサラリーマン家庭だったのですが、
亡父が多少交通に不便でも広々とした場所で好きな趣味(大工仕事とか園芸)
で暮らしたいということで、私はここで3歳から大学進学までの間、
日高山脈のふもとの牧場地帯で育ちました。

故郷とはいえ、若い頃にありがちな一面的なものの見方で「どイナカでチャンスがない、
何もできない」という思いで、何ら躊躇なく故郷を去ったのでしたが・・・

何の因果か、ウサギと暮らすようになって、
ウサギたちの牧草や生野草などを真剣に探すうち、
「なんで私は故郷を捨ててしまったんだろう。
周囲は牧場だらけで、いつでも生でも乾燥でも良質の牧草と野草が
何ら不自由なく手に入るのに」と後悔することに。。。

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    実家の周囲はこんな感じ。まだ夏の風景の牧場でした。

6月にも帰省していたのに、今回また2泊で帰ったのも、特別用事があったわけでもなく、
ただただ、冬になる前にmy countryを満喫したいという欲求からだけで。

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    近所の馬たちは相変わらず愛想のいい子と意地悪な子(笑)がいて―

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    馬の牧場がほとんどのこの土地には珍しい牛もいて。
    かわいいけれど、お前たちの先の短い将来を思うと胸が痛むよ・・・

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    湿地にはあふれるばかりに夏草の小さな花がてんこ盛り。

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    野花があふれる草地で、小鹿がのんびり草を食んでいた。
    
で、今回この時期に帰省するなんてこれまで全くなかったことなんだけど、
思いがけず地元の小さな神社の年1回の例大祭の宵宮の日でした。
北海道の多くの神社は春よりも秋にお祭りがあり、
道中もあちこちでお祭りののぼりがひらめいてる場所を見ました。

神社は私の実家のすぐ近くでありながら、
ほとんどお参りすることもなかった。
明治初期の開拓期よりもさらに前、このあたりには銀山があって
そのために建立された北海道の中でも相当古い発祥の神社らしいけれど、
本当に小さな小さな祠の神社です。

日が暮れてからの宵宮に備え、鳥居の注連縄を新しく作り変えていました。
と、近づいたら、すぐに数人のおじさんたちが
「おお、○○ちゃん、帰ってきていたのか」と。
10数年前に父が亡くなった時に葬儀全部を取り仕切ってくれた自治会の皆さん、
その時以来の再会。
お互い様だけれど、青年がおじさんになり、
おじさんはみんなおじいさんになっていてちょっとびっくり。

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     普段、注連縄作りなんて見たことないよ。

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     2本作って合わせるんですね。
     あ、なんだ、幼馴染のススムじゃないか!

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     真新しい注連縄と御幣が赤と青にまぶしいぜ。

ちょうどこの晩は十五夜。
山の黒い稜線から満月がのぞきだした頃、祭礼が始まり―
もしかして、こんな祭礼に参加するなんて中学生の頃以来なのでは。

不思議なことに、
なんとなく神様が優しく語り掛けてくれたような瞬間を感じました。
「久しぶりだね、元気だったか」と。
そう感じました。

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     お神酒をいただいあと、神主さんに「遠目でなら撮影してもいいよ」と言われて
     シャッターを切ったら、右端に浮かぶ青い光の玉。
     続けて2,3枚撮影したけれど、このショットにだけ写っていました。
     きっと神様に違いない。

私は宗教的な意味ではなく、日本人が古来から自然の大きさに対して抱く宗教「観」としての
「素朴」な意味での神道はとても大切だと思っている。

自分たちがここに住んで、ここで暮らしを立てていくために、
自然を司る神様に許可をもらい、守ってもらい、そのことに感謝するという気持ちは、
人間優位という近年の環境破壊の元となった思想と対極にある。

素朴に「利用させていただいている、守っていただいている」という気持ちが、
そもそもの日本人的エコロジーだったと思うのに、
年々地元の古くからの神社がないがしろにされていくのはとても残念だと思う。

その後・・・神社横の地域の会館で、みんなで食べて飲んでの集まりとなります。
幼馴染の2人(小学校3年まではこの地域の小さな分校だったため、
当時の同級生は2人のみ)から、どうしてもと誘われ、
今はよそ者のくせに参加しました。

地域全員でも50人もいなくなり、この夜の会には30人もいたかどうか。
都会では考えられないような、ささやかで、それでいて気心の知れあった人間たちだけでの
なんて素朴で、なんて楽しいパーティー!

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     おじさんおばさんは皆おじいさんおばあさんとなり、
     半分は知らない顔になったけれど、
     それでも幼馴染と当時のままのニックネームで呼びかい、おしゃべりやゲームに興じ、
     神様は優しく、月は美しく―
     こんなに楽しい夜は何十年ぶりだろう。

・・・私はやっぱりここにいたいなぁ。帰りたいなぁ。
久しぶりに会ったから、みんな私にやさしくしてくれただけとわかっているし、
都会の暮らしとはまた違う偏狭さや不自由だってあるのはわかっているつもりだけれど、
札幌が何十年住んでも私の故郷と感じないのは、
私はやっぱり究極のcountry girlだからなんだと思う。

自分で自分のことを、偏屈な人嫌い人間と思っているし、それは間違いないけれど、
そんな私でも生まれ育った場所と人たちの中では素直になれるらしい・・・

都会人のふりをしていただけなんだわ。。。

ニックネーム Lin at 19:50| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする